こんにちは。
今日は、ビジネス戦略の重要な部分であるイノベーション戦略についてのサマリー。
内容引用全て、K. Goffin, & R. Mitchell. (2017). Innovation Management: Effective strategy and implementation 3rd Edition. Palgrave. 日本語訳は、2021年8月現在出版されていません。
組織が達成したいことと、既存組織の継続的活動から得られるものの、ミスマッチからイノベーションは生まれます。
そのため、イノベーション戦略は常に不確実性と向き合うことになります。
イノベーション戦略分析の4つのツール
イノベーション戦略を構築する際に、役立つ4つのツールがあります。
適切な選択は、直面する不確実性の度合い(Clear enough future、Alternative futures、Range of futures、True ambiguity)に依存します。(True abmiguityに役立つツールは、現在のところ発見されていません)
- シナリオプランニング:不確実性の変数が少ない場合、Alternative futuresまたは、Range of futuresを探索するのに適している。
- 戦略的ランドスケープマップ: 可能性のある未来の中で一つのオプションを選び、イノベーションが必要な機会と脅威を特定する便利な方法。
- ロードマップ:Clear enough futureに有効な方法。特定のイノベーション機会を、より詳細に調査することができる。
- ビジネスモデル・キャンバス:イノベーションのビジネスモデルの完成度と一貫性を確認するのに役立つツール。
イノベーション戦略は、顧客満足度視点が必要
顧客が製品やサービスに求める品質をモデル化した考え方として「狩野モデル」があります。
海外でも“Kano Model”という名称で有名。
本モデルは、様々なステークホールダーが要求する品質について、3種類に分類。
- 「当たり前品質」Basic Features
- 「一元的品質」Performance Features
- 「魅力的品質」Lighters, or excitement features
忘れてはいけないのは、
すべてのテクノロジーの性能には、これ以上プッシュできないという自然な上限があること。
Capability Ceilingsと呼ばれ、S字カーブとして図示されます。
S字カーブの頂点に近づきつつある製品やサービスのビジネスに依存している企業は、脆弱と言われます。
儲かっている既存ビジネスも永遠には続かない。
「魅力的品質」が「当たり前品質」になった例は、テレビのリモコン、インターネットバンキング等。
「一元的品質」が「当たり前品質」になった例は、印刷機の解像度、車の速度等。
狩野モデルを簡単に説明するYouTubeはこちら。
日本語で10分以内で簡単に説明しているYouTube見つけられず、英語版ですみません。
バリューイノベーション(ブルーオーシャン戦略)とは
ほとんどのイノベーションは、既存の産業や市場の中で起こります。
つまり、既存の機能を強化、削減、増加、または創造することによって、大まかには同じことを行うのです。
低コスト化と差別化を同時に行うのが、バリューイノベーション(ブルーオーシャン戦略)。
有名な例は、サーカスから動物を取り除き、芸術性を高め、斜陽産業サーカスを復活させたシルク・ドゥ・ソレイユ社です。
ベストセラー『ブルーオーシャン戦略』の共著者レネ・モボルニュ氏が、ブルーオーシャン戦略を説明するYouTubeビデオは下記。
破壊的技術とは
破壊的技術は、ビジネスの競争力を変えるものであり、既存の企業製品やサービスを置き換える力を持っています。
破壊的技術導入時には機能が不十分なため、既存企業の競合にならないが、
改善版を市場に投入すると、顧客は徐々にではなく、ごそっと既存品から破壊的技術へ移動する。
パソコンが大型コンピューター市場を駆逐してしまったのは、破壊的技術の一例。
格安ホテルもホテル業界の破壊的ビジネスだが、高級ホテル市場は無くなりはしなかった。そういう例もある。
オープンイノベーションとは
イノベーション戦略に、オープンイノベーションを含まないのは難しい。
他社が開発した先端技術を使った製品やサービスを、自社品に取り込むメリットは非常に大きいからだ。
自律したイノベーション(Autonomous innovation)は安全かつ効率的にアウトソースできるが、
システマティックイノベーション(Systematic innovation)は自社開発製品やサービスの根幹アーキテクトに関わるので、
アウトソースしにくい、という差はあります。
まとめ
- イノベーション戦略策定は、常に不確実性と向き合うことになります。直面する不確実性の度合いによって、イノベーション戦略分析4つのツールを使い分けましょう。
- イノベーションには顧客満足度視点が大事。「狩野モデル」が示すように、すべてのテクノロジーの性能には、これ以上プッシュできないという自然な上限があり、上限に近づきつつある製品やサービスのビジネスに依存している企業は、脆弱と言われます。
- 低コスト化と差別化を同時に行うのが、バリューイノベーション(ブルーオーシャン戦略)。
- 既存の企業製品やサービスを置き換える力を持ってい流のが、破壊的技術。ビジネスの競争力を変える。
- 他社が開発した先端技術を使った製品やサービスを、自社品に取り込むメリットは非常に大きいので、イノベーション戦略に、オープンイノベーションを含まないのは難しい。