イノベーション・マネージメント その6、ナレッジマネージメント

ナレッジマネージメントとは、

“企業が保持している情報・知識と、個人が持っているノウハウや経験などの知的資産を共有して、

創造的な仕事につなげることを目指す経営管理手法”(出典:Wikipedia)

イノベーションに必要なクリエイティビティは知識に基づいていますから、

これについて、3つの重要なトピックを見ていきましょう。

目次

知識の性質

知識には大きく分けて、形式的/明示的なもの(Explicit)と暗黙的なもの(Tacit)があります。

蓄積されがちなのは知識(ナレッジ)ではなく情報(インフォメーション)ですが、

解釈や経験を伴わない情報だけでは、使い道が限られてしまいます。

また、構造化されていない明示的な知識は、有効に使えません。

暗黙知は、組織内の個人の中に存在しますので、

組織は、従業員が実践的な経験を積み、同僚と知識を共有することを奨励する文化を育むことで、

暗黙知を有効に管理することができます。

暗黙知の把握


暗黙知の研究をリードしてきたのは、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏です。(教授の講演会YouTubeリンクは下記)

彼は、特に研究開発の場において、暗黙知にアクセスできるようにすることの重要性を認識し、

伝達メカニズムを特定しました。

そのフレームワークとして以下の4段階のプロセスが提示されています。

このプロセスは、各段階の英語名称の頭文字をとって“SECI(セキ)プロセス”と呼ばれています。(出典:Wikipedia)

  • 共同化(Socialization)とは、組織内の個人、または小グループでの暗黙知の共有、およびそれを基にした新たな暗黙知の創造である。
  • 表出化(Externalization)とは、各個人、小グループが有する暗黙知を形式知として洗い出すこと。
  • 結合化(Combination)とは、洗い出された形式知を組み合わせ、それを基に新たな知識を創造することである。
  • 内面化(Internalization)とは、新たに創造された知識を組織に広め、新たな暗黙知として習得することである。

暗黙知から暗黙知への移転は共同化と呼ばれ、弟子は師匠の下で観察、議論、試行錯誤を通して師匠から学びます。

マネージャーは、経験の浅い社員が先輩社員を観察し、学ぶことができるような職場環境を作ることで、

共同化を促進することができます。

https://youtube.com/watch?v=s-zUWCQkUa4

暗黙知トランスファーを促進する方法

暗黙知を保持している個人は、人と共有したり文書化することに時間がかかりすぎるので、

積極的に行いたくありません。

それでは、マネージャはどのように暗黙知のトランスファーを促進したら良いのでしょうか?

カリフォルニアに本拠地を置く製品デザインのコンサルタント会社であるIDEO社は、下記4つの方法が暗黙知を形式知へトランスファーするのに有効と言います。(K. Goffin, & R. Mitchell. (2017). Innovation Management: Effective strategy and implementation 3rd Edition. Palgrave.)

  • 異なる市場、国、製品、技術に関する知識を持つ人々が集まることで、ユニークなアイデアが生まれる可能性が高くなる。→多様性が重要な理由ですね。
  • アイデアを思い起こさせ、さらに刺激を与えるために、有形のもの、プロトタイプ、おもちゃなどのコレクションをオフィスの目立つところに展示すること。
  • 古いアイデアを新しい用途に使うこと。(TRIZの入門編YouTubeリンクは下記)
  • プロトタイプを使って常にテストを行い、何が有効で、何が商品化できるかを示すこと。

まとめ

イノベーションに必要なクリエイティビティは知識に基づいていますから、

企業にとってノレッジマネージメントは重要です。

特に研究開発の場において、暗黙知をいかに有効に活用するかが重要です。

マネージャーは、経験の浅い社員が先輩社員を観察し、学ぶことができるような職場環境を作ることで、

共同化を促進し、創造的な仕事につなげることができます。

また、暗黙知を個人からチームへトランスファーを促進するために、

多様性のあるチーム、製品の展示、古いアイディアを新しい用途へ、プロトタイピングの方法を使うことが有効です。

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