引き続き、下記テキストブックのサマリーをアップします。
今日からいよいよ本題です。
内容引用全て、K. Goffin, & R. Mitchell. (2017). Innovation Management: Effective strategy and implementation 3rd Edition. Palgrave. 日本語訳は、2021年8月現在出版されていません。
本書は、イノベーション・マネージメントをオリンピック競技に擬えて、
ペンタスロン(5種競技)フレームワークとして説明しています。
以前は、耐久性が必要なマラソンに例えていたのが、
一つの競技に秀でたものが勝利するアナロジーより、
フェンシング、水泳、馬術、レーザーラン(射撃、ラン)の全く違う種目の複合競技の方が、
総合力を必要とするイノベーション・マネージメントに相応しい、と変更理由を説明しています。
また、イノベーション・マネージメントを5つの部分に分解することで、
理解しやすく社内で同じ言語を使い議論ができるメリットもあります。
もちろん、全てが相互に繋がっていることは忘れてはなりません。
筆者の一人が、本フレームワークを、3分で説明しているビデオはこちら。
アイディアの範囲
最近の調査によると、
イノベーションに成功した企業は、
平均して5つのアイディアから1つの成功する製品を生み出しています。
成功していない企業は、12のアイデアからスタートする。
つまり、より質の高いアイデアを生み出し、それを発展させることが成功の秘訣です。
アイディアは、新製品のイノベーションに集中しがちですが、
簡単にコピーされないために、モノ売りではなくコト売りを目指し、
製品をサポートするサービス、製造プロセス、新ビジネスモデルなどと一緒に生み出す必要があります。
また、高品質なアイディアを生み出すには、
事前にどのような基準で選択されるか、範囲を明確にし周知しましょう。
チームと組織
アイディア創出プロセスは、R&Dとマーケティングが中心に行うことが多い、
でも、多様なチームの関与あったほうが、斬新なアイディア出しが可能になります。
大企業では、既存の組織の中で、急進的な斬新なアイデアは抵抗を受けがち。
オープンな議論を確保するために、組織デザインが重要な役割を果たします。
プランニング
アイディア創出プロセスの焦点は、
イノベーションを実現することではなく、
可能なアイディア候補と、
それを実現するための最善の方法を洗い出しすること。
初期段階での意思決定
多くのアイデアを出したら、
迅速に、
却下、またはコンセプト段階への移行を決める。
創造力を刺激する方法
1)企業ではなぜか、創造力に関し誤った2つの神話がある。
- 創造性を管理しようとすると、創造性が阻害されてしまう。
- 従業員に自由にOut of the Boxで考えてもらうのが良い。
それは、マネージメントではなく、丸投げ。
2)ビジネスの創造力(発明とは違う)には、下記3つのタイプがあることを理解し、
部下に具体的な質問を投げかけることは、一つの有効な刺激策だ。
- 探求的創造力ー新しい機会の発見
- 規範的創造力ー解決したい課題に対する解決方法の発見
- 偶然的創造力ー3M Post-itのように、接着剤の失敗作が偶然別のアプリケーションに使えることを発見
3)イノベーションは発端は個人のアイディアかもしれないが、
価値ある製品やサービスとして開発・市場投入のためには、
頭を使って考える人たちのコミュニティーが必要。
企業内で創造性を奨励し育むために大切なことは、
創造性を邪魔するバリアーを取り除くことだ。
画一的、エリート主義、異なるアイディアにオープンでない企業文化は、創造性に向かない。
多様性が重要。
自分の所属する組織内だけで話し合っていると、アイディア範囲が狭くなってしまうので注意。
4)イノベーションの創造性を刺激する技術の例
- ブレインストーミングとブレインライティング
- Left-Right Brain技術
- 5W1H技術
- Attribute Association
まとめ
イノベーションのアイディア創出プロセスで重要なこと。
- 高品質なアイディアを生み出すため、事前に範囲を明確にする。
- オープンな議論を確保するために、組織デザインを行う。
- アイディア出し段階の目的は、イノベーションの実現ではないことを肝に銘じる。
- 多くのアイデア候補を出し、迅速に、却下、またはコンセプト段階への移行を決める。
- 丸投げせず、創造力を刺激するマネージメント技術を使う。