前回は、イノベーションの定義・次元(ディメンション)・度合い・投資黄金比率についてのサマリーをアップしました。
今日は、イノベーションの4段階(フェーズ)・担い手・トップマネジメントの事前チェック項目について、です。
内容引用全て、K. Goffin, & R. Mitchell. (2017). Innovation Management: Effective strategy and implementation 3rd Edition. Palgrave. 日本語訳は、2021年8月現在出版されていません。
イノベーションの4段階(フェーズ)
- アイデア創出プロセス(アイデア)
- 最適なアイデアの選択(コンセプト)
- 実施(プロジェクト)
- 市場投入
アイデアの中には、すぐに除外されるものもあれば、さらに進んでコンセプトに発展するものもある。
コンセプトは、社内の多様な組織から集まった少人数のチームが、数週間かけて作成されることもある。
どのコンセプトをプロジェクトとして選択し、実行段階に移すかを決定するのは、通常シニアマネージメントだ。
通常慎重にプロジェクト段階に入りますが、修正されたり、中止されたりすることもあり得ます。
イノベーションの担い手
イノベーティブでありたいと願う組織は、
新設ではなく、今ある各組織が積極的に貢献するようにしなければならない。
イノベーションは、研究開発や経営企画部門だけで行えるものではありません。
イノベーション・マネージメントは、組織横断的に行われるものだからです。
各部門がイノベーションに貢献する下記例を見れば、
協力が不可避とわかります。
- R&D:イノベーションアイディア出し
- インダストリー・デザイン:製品やサービスの形態や機能に焦点を当てたアイディア出し
- マーケティング:顧客のニーズを特定
- 販売・営業:既存製品の販売との兼ね合いもあり、イノベーションプロセスから除外されることが多いが、彼らのマーケットの情報を有効活用できた方がベター。また、ブレークスルー、ラディカル・イノベーションの際には、彼らの新市場開拓能力の力を借りる必要がある。
- オペレーション製造部門:プロセスのイノベーションは、製品イノベーションよりもコピーしにくいので、製造部門は貢献が期待される。
- 財務・会計:イノベーションプロジェクトの投資収益率の計算をサポート。
- 人事:優秀な人材を雇用育成し、モチベーションを高める。
- シニアマネジメント:組織の壁(サイロ)を取り除き、各組織間のコミュニケーションを円滑にする。
- 外部リソース(サプライヤー、大学、研究機関):外部組織・企業が開発に参加。
トップマネージメントの事前チェック項目
イノベーティブであるために、まず確認すべき項目は、
1)自社に、イノベーションをサポートするためのプロセスが存在するか?どのように組織されているか?
イノベーションは、計画的に行うことができない偶然的な活動であるというのは、大きな誤解です。
様々な論文の中で、アイデア創出から商業化に至るまでのイノベーションは、プロセスであることが強調されています。
2)自社が必要としているイノベーションの度合いは?インクリメンタル、ブレークスルー、ラディカル・イノベーションの適切な比率は?(度合いについては、その1に詳しく書いてあります)
まとめ
イノベーションの4段階は、アイデア創出プロセス(アイデア)最適なアイデアの選択(コンセプト)実施(プロジェクト)市場投入。
イノベーション・マネージメントとは、上記段階をプロセスとして組織横断的にマネージすること。新設ではなく今ある各組織が積極的に貢献するようにしなければならない。
イノベーティブであるために、トップマネージメントがまず確認すべき項目は、イノベーションプロセスがどのように組織されているか?必要なイノベーションの度合いは?の2つ。