イノベーション・マネージメント その1、イノベーションの定義・次元・度合い・投資黄金比率

シリコンバレー在住15年、

現在、日系大手企業のシリコンバレー所長。

オープンイノベーションチームをマネージしていますが、なかなか成果を出せず苦労しています。

イノベーション・マネージメントについて体系立てて勉強したことがなかったので、

今回グローバルリーダーシップ研修の時にもらった表題の教科書を読んでみることにした。

何回になるかわかりませんが、

サマリーをアップしていきます。

引用全て、K. Goffin, & R. Mitchell. (2017). Innovation Management: Effective strategy and implementation 3rd Edition. Palgrave. 日本語訳は、2021年8月現在出版されていません。

目次

イノベーションの定義

経済協力開発機構OECDによるイノベーションの定義は、

新しいまたは大幅に改善された製品(商品またはサービス)、

またはプロセス、

または新しいマーケティング手法、

または新しい組織手法を、

またはビジネス慣行、

または職場の組織、

または対外関係において、

実施すること(インプリ)であるとしている。

イノベーションの次元(ディメンション)

私の勤務先は製造業なので、

とりあえず製造業におけるイノベーションには、5つの次元がある。

  1. 新製品
  2. 製造プロセス
  3. 新サービス
  4. ビジネス・プロセス
  5. ビジネスモデル

ありがちなのは、製品のイノベーションだけに焦点を当てた一次元的なもの。

簡単にコピーされてしまうので、一次元的にならないことが肝要。

優れた例1。

アクゾノーベル社が石油タンクの底に塗る新しいコーティング材を開発したとき、

船がいつ新しいコーティングを必要とするかを予測する方法も開発し販売。

優れた例2。

フォルクスワーゲンが十数年前に若者向けにゴルフGTXを開発した際に、

修理費用をより効率的にするために製造プロセスを再設計しただけでなく、

同時に、若いドライバー向けに保険料を安くするように、保険会社と交渉した。

それは私の組織の管轄じゃない、

あなたの組織の仕事だから私は判断できないの、

とか言っていると、

二次元以上のイノベーションが起こせないわけですね。

OECDによれば、

イノベーション・マネジメントとは、

新規または改良された製造製品の開発とマーケティングの成功、

新規または改良されたプロセスや設備のコマーシャル利用、

社会サービスへの新しいアプローチの導入などに必要な、科学的、技術的、商業的、財務的な

すべてのステップで構成されている、

とあります。

イノベーションは、R&Dだけの仕事ではない。

イノベーションの度合い

本教科書では、イノベーションには3つの度合いがあるとされている。

  1. インクリメント・イノベーション:既存顧客向けに既存製品を最適化する程度。
  2. ブレイクスルー・イノベーション:本当に新しいベネフィットで既存顧客を刺激できる程度。会社のポートフォリオ拡大に寄与する程度。
  3. ラディカル・イノベーション:変革をもたらすイノベーションを開発し、まだ存在していない市場のために発明を行う。

2、3がいかに難しいかを示す調査結果。

1,500人のトップマネジメントを対象とした調査では、ブレイクスルー・イノベーションを達成している企業はわずか13%であることがわかっている。

別の調査によると、平均開発のオンタイム率は、

インクリメント・イノベーションでは57.9%が「予定通り」に進んでいるのに対し、

ブレイクスルー・プロジェクトでは43.6%、

ラディカル・プロジェクトでは29.2%しか予定通りに進んでいません。

イノベーション投資の黄金比率

イノベーション投資予算の黄金比は、

  • インクリメント・イノベーション(70%)
  • ブレイクスルー・イノベーション(20%)
  • ラディカル・イノベーション (10%)

数撃たなくては成功しない。

イノベーション・プロジェクト数があることが必要。

まとめ

イノベーションの5つの次元は、1)新製品、2)プロセス・イノベーション、3)新サービス、4)ビジネス・プロセス、5)新ビジネス・モデル。

製品のイノベーションだけに焦点を当てた一次元的なものは、簡単にコピーされてしまうので、企業は一次元的なものを避けるべきである。

イノベーションの3つの度合いは、1)インクリメント・イノベーション、2)ブレイクスルー・イノベーション、3)ラディカル・イノベーション。

ブレイクスルー・イノベーションを達成している企業はわずか13%であることからわかるように、

イノベーションは簡単ではない。

イノベーション投資黄金比率は、7:2:1。

数撃たないと成功しないので、イノベーション・プロジェクト数が必要。

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